ゾコーバ錠、日本発で初めてのコロナ治療薬となるか

 ゾコーバ錠は、塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された経口のコロナ治療薬だ(一般名はエンシトレルビル、開発コードは S-217622)。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は増殖する際に3CLプロテアーゼという酵素を利用するが、エンシトレルビルが3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制すると考えられている。認可されれば、日本企業が開発した新型コロナ治療薬としては初となる。

バイオテクノロジーの専門情報が毎日届く無料メルマガの登録はこちらから
「日経バイオテク」の無料試読のお申し込みはこちらからお進みください。

 塩野義製薬は2022年2月に、ゾコーバの条件付き承認制度の適用を希望する製造販売承認を申請した。さらに5月に緊急承認制度が導入されたことを受け、5月末に緊急承認制度の適用を求める申請も行った。緊急承認制度では、臨床試験の途中でも有効性が推定されれば、いくつかの条件や期限の下で承認を取得できる。

 塩野義製薬は2022年2月、S-217622について臨床試験結果を発表した。第2/3相臨床試験のうち、第2b相部分の主要評価項目について、抗ウイルス効果に関する1つ目の項目は達成し、症状改善効果に関する2つ目の項目は未達だった。同社は、1月末の2021年度第3四半期決算の発表時や2022年2月7日の会見で、(1)軽症/中等症患者と無症候/軽度症状のみの感染者合計69例を対象とした第2a相部分の解析結果を開示。プラセボと比較して有意に優れた抗ウイルス効果を示したこと、限られた症例数による結果ではあるが、低用量群と高用量群では重症化した症例が発生しなかったこと、臨床症状の改善傾向が見られたこと、重篤な有害事象は見られなかったこと──などを説明していた。

 同社は新たに、(2)軽症/中等症患者428例を対象にした第2b相部分の主要評価項目の解析結果を発表した。それによると、被験者はオミクロン株が流行後の感染者を中心に、日本から419例、韓国から9例が登録された。そしてS-217622の低用量群、高用量群、プラセボ群に割り付けられ、有効性、安全性などを評価した。有効性の主要評価項目の1つ目は、抗ウイルス効果で、4日目(3回投与後)における新型コロナウイルスのウイルス力価のベースラインからの変化量に設定された。2つ目は、症状改善効果で、COVID-19の12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間当たりの変化量に設定された。

 今回の解析の結果、1つ目の主要評価項目である、4日目(3回投与後)におけるウイルス力価の有意な減少は認められた。しかし、2つ目の主要評価項目である、12症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間当たりの変化量については、「プラセボ群と比較して改善方向に推移したものの、統計学的に有意差は認められなかった」(塩野義製薬のプレスリリース)としている。

 つまり、主要評価項目は、抗ウイルス効果に関する1つ目の項目は達成し、症状改善効果に関する2つ目の項目は未達だったということだ。ただし、症状改善効果について、12症状の中でも呼吸器症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳、息切れ(呼吸困難))に限った合計スコアは、高用量群でも低用量群でも、有意な改善効果を示したという。安全性に関して、新たに懸念される有害事象等は認められなかった。